The 20th Anniversary Tour
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20th Anniversary Tour 2000/2/12(Sat) 大阪フェスティバルホール
01.君をさがしている(朝が来るまで)
02.ガラスのジェネレーション
03.Downtown Boy
04.Wild Hearts(New Version)
05.Rain Girl(New Version)
06.Heart Beat('99 Version)
07.マンハッタンブリッヂにたたずんで
08.Young Bloods
09.Do What You Like
10.悲しきレディオ メドレー
(So Young〜メンバー紹介〜彼女はデリケート)
<休憩>
11.彼女(PIANO SOLO with Tommy)
12.Young Forever(Acoustic Version)
13.愛のシステム
14.NEW AGE
15.Come Shining
16.Complication Shakedown('99 Version)
17.Go4
18.Individualists('99 Version)
19.約束の橋
20.Rock&Roll Night
21.SOMEDAY
22.Innocent
<アンコール>
23.アンジェリーナ
24.ナイトライフ
25.Happy Man
他の町の友達には内緒だからね!
cover 今の気持ちをどう言葉に記せばいいのだろう。
ライブを見に大阪まで行き、彼から沢山のPOWERを受け取って東京に戻った後も、あの興奮と感動が私の心に焼き付いている。目を閉じれば、今でも等身大の佐野元春を思い浮かぶことが出来る。彼のアルバムを聴く時、ライブに行く前と行った後でこんなに感じが違ってきているのは、一体何故だろうか…。

2月12日土曜日。佐野元春&THE HOBO KING BAND(HKB)のライブが大阪フェスティバルホールで行われる。武道館だけ見に行くのは物足りないと思った私は、東京から遠征して大阪までやってきた。関西でライブを見るのは「サークルツアー」の大阪城ホールと、去年の「Stones & Eggs」での神戸国際会館に次いで、3回目である。大阪での佐野のライブは、東京よりテンションが高いと聞いていたのだが、今回はそれに輪をかけて「20周年記念ライブ」というイベントが掲げられているのだから、テンションが今まで以上に高いのではというワクワクした期待が私の中にあった。

前日から関西入りしていた私たちは、昼間大阪の街を歩きまわった。梅田から地下鉄に乗り難波へ。道頓堀、アメリカ村、心斎橋…こんなに歩き回ったのは久しぶり。東京にはない大阪の活気を感じていると、いつのまにか「にわか関西弁」になってしまっている自分に気づく。大阪散策が終わって一旦ホテルに戻った。私が泊まったホテルは中之島にある。フェスティバルホールまでは川沿いを歩いて数分。大阪の活気を全身で感じとった力を今度は元春にぶつけていこうと思いながら、友達と一緒に会場へ向かった。

今回は午後5時からのスタート。まだ明るいうちに始まるということは、いつも以上に長くやってくれるかも知れない。そう思うと、開演前も落ち着かない状態だった。私の席は1階3列LEFT10番。手の届くところにステージがある。佐野が、メンバーがそこまで来れば、思わずさわっちゃうかも知れない。周りの友人と談笑している時もいつも以上に興奮していた。佐野の音楽が流れていたBGM(開演前に佐野の音楽が流れるというのは過去になかったように思う)が止み、オープニングの音楽が流れた。その時真っ白な幕から映ったのは、佐野がデビューしてからのライブ写真、ステージ、スチール写真。最初はデビューから現在までの流れで映し出し、映像は逆に現在から過去へ、そしてランダムに映し出されるスチール写真。その様々な写真や映像を見ていると、佐野の音楽をリアルタイムで聴いていた頃の自分自身もフラッシュバックされていった。最後に佐野がピアノで弾き語りをしているあの写真。1981年のルイード。そこに「20th Anniversary Tour」の文字が。そしてライブのはじまりを告げるDJの呼びかけが…。

"Ledies & Gentlemen,Motoharu Sano and The Hobo King Band!"

と同時に、佐野の「1234!」のカウントと共に幕が開いた。
そこに映し出されたのは「現在」の佐野元春。そしてThe Hobo King Band。
オープニングは「君をさがしている」。
佐野とThe Hobo King Bandが造りあげた現在のサウンドで歌い始めた時、私の目の周りが何故だか熱くなった。どうしたんだよぉ、自分。まさかオープニングで涙が出そうになるとは思っても見なかった。
「でも今夜はいつもの夜とは違う!」
このフレーズを今まで何度も聴いていたが、実感として表れたのは今回が初めてだ。佐野元春のライブはいつもの夜を違うものに変えてくれる。今日も彼らがステージ上から放つ数々のマジックを心おきなく受け止めていこう。

佐野が20年間伝えたすべてのことを3時間のステージの中で伝えようと、次々と演奏されていく。その姿を見ながら私もSwinging&Dancing…といくはずなのに、どうしたことか踊りきれない状態がしばらく続いていた。きっと最初に涙が出そうになってしまったからに違いない。踊りきれなかった間、それならと私は佐野とメンバーの姿を必死に目で追いかけていた。思い切り楽しみたいのに、楽しみきれない…そんな歯がゆい状態を何とか振り切りたかった。

その歯がゆい状態を解き放してくれたのは、今回参加してくれたBlack Bottom Blass Band(BBBB)だった。ニューオリンズの空気を感じさせる陽気な彼らが佐野やメンバーを相手に堂々と渡り合える姿を見ているうちに、徐々に私の心と体をSwinging&Dancingな状態にしてくれた。彼らに心から感謝したい。
アレンジが大幅に変わった「Wild Hearts」(ピアノのリフレインが印象的)「Do What To Like」(ニューオリンズを意識したブラスアレンジ)はもちろん、他のナンバーもブラスが入ったことで厚みが一気に広がっていた。この編成を見て、佐野がバンドに求めていた「THE HEARTLANDへのリスペクト」により近づいてきたと思ったのは私だけだろうか。「マンハッタンブリッジにたたずんで」を久々に演奏してくれて嬉しかった。このナンバーに大瀧詠一へのリスペクトを感じたからだ。「ナイヤガラ・トライアングルVol.2」に参加して大瀧氏に出会えたことは、彼にとって大きなターニングポイントとなったと後に雑誌のインタビューで語っていたのを覚えているが、この事を改めて感じる事が出来た。
「悲しきレィディオ」で曲の中盤で佐野がスライディングした所が、何と私がいた席の目の前だった。手を伸ばせば届きそうな場所に彼がいたのである。興奮せずにはいられなかった。とにかく必死に手を伸ばして佐野にちょっとでもふれようとしていた。届かなかったけど。

「Downtown! 月に照らされて今夜も、この素晴らしい大阪の夜!」

このフレーズを聴くたびにその時その場所で行われる佐野のライブが、素晴らしい夜を与えてくれる。佐野はこのフレーズを2回繰り返し、ファンを喜ばせることを怠らない。バンドの演奏も更にパワフルになっていった。
続くメドレーでは、前回よりも躍動感を感じる。ここでも佐橋とKYONがツインギターを私のいる辺りでプレイしていた。この二人はずっと前から知っていたのだが、まさか佐野と一緒にバンドを組むようになるとは思っても見なかった。(ベースの井上、ドラムの小田原にしてもそうだが)目の前でギターを鳴らしていた二人の生き生きとした表情が、私をまた嬉しくさせてくれた。
「So Young」をはさんでメンバー紹介をした後、「彼女はデリケート」をフルで演奏。「大阪の人たちはノリが他の所より凄いか、試してみたいんだ」と佐野は様々なスキャットでオーディエンスをのらせていく。そして「すごい!他の所ではここまで続かない」と誉めて(?)、「I Love You,You Love Me!」へ。最後は佐野もメンバーも観客も放心状態になっていた感じだった。

「しばらくしたら戻ってきます」というMCが入って、休憩時間に入った。
前半だけで約1時間半。体力が持つか、ちょっと心配になった私だった。

休憩時間中も佐野のナンバーが流れる。曲に合わせて歌っている人もちらほら。
「楽しい時」が2回続けて流れていた。やがてBGMがやみ、場内が暗くなった。ステージを見てみると、衣装変えした佐野がピアノの前に座り、ウッドベースを持った井上富雄もスタンバイしていた。

「こういう曲もやってみようと…そうだ、ミュージックフェア見た?(笑)」とElvis Costelloと競演したTV番組の事を話し、「彼女」を歌いはじめた。この曲を初めて聴いた時、やけに大人っぽく歌っているなぁと思っていたのだが、今改めて聴いてみると、やるせない気持ちが今の自分にズキンと感じてしまう。「Young Forever」もそう。「いつまでも若く…」ありたいのだけど、どんな人も年を重ねていく事で失われてしまうものが多い。私はこの2曲を聴きながら、若かった頃の(今でも若いけど(笑))自分を思いめぐらしていた。
「愛のシステム」はアコースティックでありながら、ドラムのリズムと佐野のシャウトによって、qが自然と立ち上がせる力強いナンバーに生まれ変わった。佐橋(スライド風に弾いていた)、KYON、佐野の乾いたギターによって、オリジナルより鋭さが増したような感じがした。
「NEW AGE」「Come Shining」、そして前回のツアーですっかり耳馴染みになった「Complication Shakedown」「Go4」への流れは、佐野とHKB、BBBBのコラボレーションが完璧に仕上がっていた。
圧巻だったのが「R&R Night」。ほぼ完全にオリジナルで表現しようとするHKBの演奏に合わせて力強く歌う佐野の姿に、ハートランドへの深いリスペクトを感じ取れた。ここでのKYONのピアノプレイには、今回も欠席している西本明へのリスペクトを感じる事が出来たのが嬉しかった(彼には是非またバンドに戻ってきてほしいのだけど…)。 「SOMEDAY」で会場中が大合唱した後、オリジナルよりキーが一音上がり、ギターサウンドが強調された「INNOCENT」が歌われた。去年の彼のバースディに行われたスペシャルライブで初めて演奏されたのを聴いて以来、ずっと私の耳の中で離れなかったナンバー。あの時は「ありがとう」という仮題が付けられていた。あれから1年たち、タイトルが「ありがとう」から「INNOCENT」と変えられたけど、今まで佐野元春の音楽を聴き続けてくれた人たちへの彼からの「ラブレター」として私たちの手元に届けられた。
「君がただ一つだけの真実」

ここに集まった人たちだけでなく、いろんな所で佐野元春の音楽を聴いている人たちに向けて、佐野はこの曲を歌った。そして私たちも「ありがとう」と彼に返す。佐野とバンドとオーディエンスが完全に一つになった瞬間だった。

本編が終わっても、観客の拍手が止まらない。思い思いの形で再び佐野とバンドが出てくるのを待っている。私はというと、拍手をしながら「INNOCENT」を口ずさんでいた(当初ここで観客が「INNOCENT」大合唱するというシークレット企画があったのだけど、事情があって残念ながら無くなってしまった)。
待つこと約10分、佐野とHKB、BBBBが再びステージに出てきた。みんな生き生きとした表情でスタンバイに付く。そしてデビュー曲「アンジェリーナ」を演奏し始めた。
演奏して楽器を置いてステージに一列になったのだが、観客はそれで終わトしまうのは許さないとばかりに、拍手と歓声を大きくする。これを見た佐野はメンバーを集めて相談する。そして、「もう1曲行こう!」と「Night Life」を演奏した。嬉しくなって私は手拍子はもちろん、途中の「11時までに?」の所で手を1・1と出して「11時」とするポーズもノリノリにやっていた。
これで終わり…とまたステージに集まったら、またまた観客の歓声が強くなった。以前「大阪のファンは他の地方よりテンションが高いんだよね」と佐野が話していたのを読んだことがあったが、実際本当だったと感じさせられた。またメンバーで集まって、曲目を決めた後…
「他の町の友達には内緒だからね!」
と茶目っ気に話した後、「Happy Man」を演奏した。もちろん会場中が大合唱。
最後の最後まで大盛り上がりのラストナンバーとなった。

「僕は東京は下町の出身だから、ちょっと言葉が違ったりするけど、僕はみんなと友達なんだ。僕は友達の為に曲を作り続けるよ。(中略)僕はバンドを2つ経験した。The HeartlandとThe Hobo King Band。聴いていると分かると思うけど、今日のThe Hobo King Bandの演奏にはThe Heartlandへのリスペクトが込められているんだ。これからもThe Hobo King Bandをよろしくね」

最後に佐野が話した言葉。彼はデビューしてから20年もの間、私たちに親しみやすいスタンスで音楽と関わってきたことが、ここから十分に感じ取れる。曲を作り、レコードを出し、ライブを続けることで佐野とバンド(The HeartlandとThe Hobo King Band)との固い繋がり、佐野とファンとの深い結びつきを強固なものにしてきた。彼が第一線で活動出来たのも、彼自身が持っている音楽に対する拘りを貫き続けていたからだと思う。この20周年記念ライブは、彼が今まで積み重ねてきたもの(=音楽)を佐野とバンドと観客が共に楽しみながら表現していきたいということだろう。そのライブに私が観客の一人として立ち会えた事がとても誇りに思う。

次はいよいよ武道館。佐野とHKBが私たちにどんな姿を見せてくれるのか、
これをステップに佐野はどこに向かおうとするのか、期待せずにはいられない。
Last Update:2003.3.7
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